神奈川県政についての考え方

未来に希望がもてる神奈川県を創るために

持続可能な財政運営について
コロナ禍が一応の収束を迎え、経済活動が通常に戻りつつあり、それに伴って本県の税収も増えている。もっとも、昨今の日本経済は、物価上昇が続く中、日銀が金融政策を変更、結果として為替や株価が大きく動くなど、バブル崩壊後の過去30年とは違う動きを見せています。また、中国経済の不調が一層顕在化するなど、好調な税収を支えてきた本県の経済環境に変化が見られつつあります。一方で、人口減少が進む中、隣接する東京都は、潤沢な財源を背景に、独自の子育て施策を大幅に拡充しており、本県を含む近隣団体との格差は拡大しています。今後、経済動向をしっかりと見極め、持続可能な財政運営に努めるとともに、物価や金利の変動が社会に与える影響に留意し、施策のスクラップ&ビルドを不断に行い、必要な施策には着実に取組んでまいります。そして、財源の目途がないまま東京都の独自施策に追随すると、持続可能な財政運営は不可能となるが、人口減少は喫緊の課題であることから、地域間格差がこれ以上拡大しないよう、国に対し、子育て施策の全国制度化や、偏在性の少ない安定した地方税体系の構築を目指します。

観光客の災害対策の策定について
令和5年度神奈川県観光客消費動向等調査によると、県全体では、国内観光客が「日帰り」は83.6%、「宿泊」は16.4%と、「日帰り」が多数となっています。また、外国人観光客は、「日帰り」が51.9%、「宿泊」が48.1%となっている。このような状況下にあって、本県では、大規模地震等の災害発生時に、公共交通機関の停止や道路の通行規制などにより、観光客等が帰宅困難者となった際の対策がなされていません。先進市の京都モデルを参考に、観光客等を含めた災害対策の策定に取組ます。

有機フッ素化合物について
国内各地の河川や水道水から高い濃度の検出が相次ぎ、有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」の一部の物質、PFOA、PFOSについて、WHO傘下の国際がん研究機関が発がん性の評価の引き上げを公表したところであり、県民に不安が広がっています。水質汚濁防止法に基づき実施する調査の結果は、県の見解および考察を含めて速やかに情報提供するとともに、WHO等の国際的な議論を踏まえ、国内基準値の見直しについても国に積極的に働きかけてまいります。また、県の調査計画を補完する目的で実施する市の調査に対し、国、県による補助制度を創設する等、財政措置を講じます。

共生社会の実現に向けた取組について
県立津久井やまゆり園で発生した事件を教訓に、二度と同じ間違いを繰り返さないよう、県行政一丸となって横断的に取組を推進します。また、神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例の精神を具現化するために、具体的かつ意欲的に障がい福祉を拡充します。さらに、誰もが暮らしやすい神奈川の実現に向けて、「子ども・女性・障がい者・高齢者・疾病・同和・外国籍県民・貧困・犯罪被害者・北朝鮮拉致問題・性的マイノリティ・インターネットによる人権侵害」等、県の人権施策を進めます。

カスタマーハラスメント対策について
カスタマーハラスメントが社会問題化しているが、法的な定義付けがなく、対応も難しい状況である。本県では労働相談として対応されているが、相談窓口の周知が不足しているためか、相談件数は民間調査の結果とかけ離れ極端に少ない状況であり、早急な改善や対応が求められる。専門相談窓口の設置の検討や、本県でのカスタマーハラスメントの実態調査と分析を行います。また、カスタマーハラスメントに対して、対策を打ち出す大手の企業も増えてきた一方で、中小企業については対応に手が回らないといった声も聞くところである。国の法整備を待つことなく、県が今できることとして、事業主も労働相談窓口で相談ができることや、対策のための具体例をホームページで分かりやすく周知を行う等、早急にカスタマーハラスメント対策に取組ます。

建設資材高騰対策について
燃料価格の上昇や円安などに伴う物価高は、これまで以上に建設資材の価格に大きく影響を及ぼしている。事業者が資材高騰対策としてスライド条項を活用できるよう引き続き適切な対応を図るとともに、工期の柔軟な見直しや適切な発注・工程管理に努め、県発注工事に関しては、資材高騰の影響が下請け、孫請け、ひいてはそこで働く労務者の賃金にしわ寄せが及ばないよう人材不足にも鑑みた現状把握につとめます。

ともに生きる社会かながわを実現する教育の推進について
本県においては「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念に則り、教育を受ける一人ひとりが多様性を認め合い、誰一人取り残さない体制を構築するため、インクルーシブ教育を推し進めていく必要があります。児童・生徒一人ひとりに対応する教育をさらに推進するため、教育相談コーディネーターの専任化、特別支援教育支援員、発達障がいに詳しい臨床心理士、介助員、通級指導教室の県費指導教員の増員などの人的整備に係る財政措置の充実を図ります。また、肢体不自由・医療的ケアの必要な児童・生徒が在籍する学校に対しては、県独自の財政措置を講じてでも、早期に課題解決に向けて取組を強化します。さらに、共生社会の実現に向け、全ての子どもたちが同じ場で共に学び共に育つことを目指したフルインクルーシブの実現に向け、様々な立場の方々の意見を聞き研究を進めます。

    ~持続可能な神奈川県政を目指して~

    神奈川県の財政は依然として厳しい状況にあります。歳入面では、県税収入に占める法人県民税や事業税の割合が高いため、経済の動向に左右されやすい不安定な税収構造が続いています。また、近年の物価高騰や景気の不透明さが、さらに県税収入の予測を困難にしています。

    一方、歳出面では、急速に進行する少子高齢化の影響が顕著で、介護、医療、子育て支援に関連する支出が急増しており、これらの義務的経費の割合は一層高まることが避けられません。また、気候変動による災害対策費の増加も歳出を圧迫しており、持続可能な財政運営が求められる状況です。

    県債に関しては、臨時財政対策債を含む県債残高も依然として高水準にあることから、財政健全化の取り組みが引き続き必要です。特に、国による地方財政の制度変更や交付金の見直しが進む中、県としても独自の財源確保策や支出抑制策が重要となります。

    さらに、エネルギー価格の高騰や国際情勢の不安定化も、物価や経済に影響を与え、県財政に対する不確実性が増しています。県は持続可能な財政運営を実現するために、既存事業の再評価や予算配分の見直しを進め、効率的な財政出動を行うことが必要です。また、県民生活への影響を最小限に抑えつつ、社会情勢の変化に対応した柔軟な財政運営を図るための取組を進め県民の皆様が安心安全に暮らせる神奈川を目指し尽力してまいります。